1
タトゥーを入れたい。
わたしの弱い心に。
巣から飛び立てないヒナを守る
鷹の母鳥のタトゥーを。
- syun
2
自分を料理にたとえたら、鍋料理。
もちろん主役の肉じゃなく、わき役の白菜でもない。
カセットコンロのガスボンベ。
ちぇ、カラじゃんかよと、舌打ちされる。
- syun
3
あきらめようと思う。
シャツを1枚脱ぐように。
何をあきらめるのか、わからないけど。
とにかく、ずぶ濡れなんだ。
- syun
4
何かに集中したくて、おにぎりをつくった。
炊飯器の水の量を間違えたし、食塩がなくてコンビニに走った。
ちょっと芯のあるご飯だったけど、2個並んだ。
いただきますと、何度もいいながら食べた。
- syun
5
わたしの名を呼んだ声は
いくつも、いくつもあった。
たしかにそのとき、わたしはそこにいた。
生きているという実感は、いつも遅れてやってくる。
- syun
6
人の来ない密林に、ハンモックを張る。
もぐりこんで、毛布と防水シートをかぶる。
真っ暗な中に、雨だれの音がやさしく永遠につづく。
それが、理想の人生。
- syun
7
ソーダ水のコップに、無数の小さな泡。
ひとつひとつが、生まれては消える宇宙だ。
その宇宙を、ゆっくりとストローで飲みほす。
壮大な、ひとり遊び。
- syun
8
うらはいろ――裏葉色。
本当にある、色の名前。
絵の具の白と緑に、ちょっとだけ墨を混ぜて
たくさんのため息を混ぜると、できる色。
- syun
9
雑草に寝ころがって、目をつむったとき
雑草の存在感に気づく。
地面に押しつぶされながらも、やさしく静かに
体重を受け入れてくれた。
- syun
10
公園の古びたベンチに、木漏れ日が落ちて
その光と影が、風とともに揺れる。
たたずんだまま、それを見ていた。
たったそれだけのことで、わたしの「きょう」が救われた。
- syun
11
自傷の跡の形に、何を思おう。
紛れもなくそれは、傷つきながらも治ろうとする細胞の営み。
その営みと、その精神に助けられている自分。
だからその形が、いとおしい。
- syun
